確証バイアスとは?「探す・受け取る・覚える」の3段階でわかる仕組み【現役心理士が解説】

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「この人は冷たい」と一度思うと、冷たく見える言動ばかりが目につく。
「この食べ物は体に良い」と思って調べると、それを裏付ける記事ばかり見つかる。
このような経験は、心理学で確証バイアスと呼ばれる現象で説明されています。

結論から言うと、確証バイアスとは、自分がすでに持っている考えや仮説を支持する情報を、探す・受け取る・覚えるという各段階で優先しやすい認知の偏りのことです。意図的に選り好みしているわけではなく、誰にでも起こる情報処理のクセで、判断を素早くできるというメリットがある一方、見落としや考えの固定化といったデメリットもあります。

この記事でわかること
  • 確証バイアスとは、自分の考えを支持する情報を優先しやすい認知の偏りのこと
  • 偏りは、情報を探す・受け取る・覚えるの3段階で起こる
  • 背景には、情報処理の効率化と、考えを守りたい気持ちがあり、3段階がくり返されて考えが強まる
  • 判断が速くなるなどのメリットと、見落としや考えの固定化などのデメリットがある

確証バイアスとは

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確証バイアスとは、自分が持っている仮説や信念を支持する情報を探したり、そのように解釈したり、記憶にとどめたりしやすい認知の偏りのことです。

認知バイアスとは、物事を判断するときに無意識のうちに生じる、考え方や判断の偏りのことをいいます。確証バイアスは認知バイアスの代表的なものの一つで、「自分に都合のいい情報ばかり見てしまう傾向」と説明されることもあります。

確証バイアスの例
  • 「A型は几帳面」と思っていると、A型の人の几帳面な言動ばかりに気づきやすくなる(血液型と性格に一貫した関連は確認されていません)
  • 「〇〇は体に良い」と思って検索すると、効果を裏づける記事ばかりが目に入りやすくなる

心理学では、情報を集める段階だけでなく、集めた情報をどう受け取るか、あとからどう思い出すかという段階にも偏りが生じると考えられています。
また、本人が意図して行っているのではなく、気づかないうちに働く点も特徴です。

確証バイアスが起こる仕組み

確証バイアスは、情報を「探す」「受け取る」「覚える」という3つの段階で働くと考えられています。

探す1
自分の考えに合う情報を集めやすい
受け取る2
合う情報は素直に、合わない情報は軽く扱う
覚える3
合う出来事が印象に残りやすい

情報を探す段階

自分の考えを確かめようとするとき、その考えに合う情報を優先して集めやすくなります。

たとえば「この方法はうまくいくはずだ」と考えている人は、うまくいった事例や成功した人の話を探しがちです。

うまくいかなかった事例や、考えが間違っている可能性を示す情報は、わざわざ探すことが少なくなります。その結果、手元に集まる情報が、最初から自分の考えに沿った内容に偏ります。

情報を受け取る段階

目に入った情報のうち、自分の考えに合うものは重く受け止め、合わないものは軽く扱いやすくなります。

自分の考えに合う情報は「やはりそうだった」と素直に受け入れられます。一方、合わない情報は「たまたまだ」「例外だ」「あまり信用できない」と軽く扱われやすくなります。

合わない情報が目に入っていないわけではなく、目に入ったうえで、意味づけが変わるということです。同じ情報でも、持っている考えによって受け取り方が変わります。

情報を覚える段階

あとから思い出すとき、自分の考えに合う出来事ほど印象に残り、合わない出来事は忘れやすくなります。

たとえば「あの人は冷たい」と思っている場合、探す段階では冷たく見える行動に注意が向き、受け取る段階では親切な行動の意味づけが変わり、覚える段階では冷たい場面が残りやすくなります。このように、3つの段階が重なって、第一印象が補強されていきます。

確証バイアスが起こる背景と強まり方

なぜこのような偏りが生じるのかについては、認知的な要因と動機的な要因の両方が関わると考えられています。

認知的な要因とは、情報の処理を効率化する働きです。
私たちは日々大量の情報に触れていて、すべてをゼロから吟味することはできません。そのため、すでに持っている知識や考えを手がかりに、情報を素早く整理しようとします。

動機的な要因とは、自分の考えや選択が間違っていないと思いたい気持ちです。
自分の考えと矛盾する情報に触れると、人は不快な緊張を感じ(認知的不協和)、その緊張を和らげようとする方向に情報の受け取り方が傾くと考えられています。

さらに、この3つの段階は、次のように循環しながら考えを強めていきます。

「自分は雨男だ」と思う
1探す旅行の日に雨が降っているのに気づく
2受け取る一方で晴れた日は『たまたま』と考える
3覚える旅行の日に雨が降っていた記憶ばかり残る
「やっぱり自分は雨男だ」
くり返し

このような流れがあるため、一度できあがった考えは、本人が気づかないうちに補強されやすくなります。

確証バイアスのメリット

確証バイアスは問題点が語られることが多いのですが、日常のなかで役に立っている面もあります。

判断を素早くできる

例

服を選ぶとき、好きな芸能人のSNSだけを参考にして、ほかの情報はあまり見ない。

「この人はおしゃれだ」という考えを手がかりに情報を絞ると、たくさんの情報を一つひとつ吟味しなくても、短い時間で判断できます。

気持ちが安定しやすい

例

おしゃれだと思っている芸能人が着ていると、ふだんなら「微妙」と思う服でも「さすが」と思える。

考えと食い違う情報も、考えに合うように受け取るため、「本当におしゃれなのか」という迷いや不快感が生じにくくなります。考えの一貫性が保たれることで、気持ちが安定しやすくなる面もあります。

確証バイアスのデメリット

一方で、確証バイアスが強く働くと、次のような問題につながります。

見落としや判断の誤り

例

好きな芸能人が紹介した服が自分に似合わなくても「今回はたまたま」と考え、同じ系統の服を買い続ける。

「この人が紹介するものは自分にも合う」という考えに合わない経験が、軽く扱われています。これは情報を受け取る段階の偏りです。その結果、自分には別の系統が合うという可能性を見落とし、判断を誤る原因になります。

自信の過大

例

好きな芸能人のおすすめで当たりだった商品は覚えているのに、外れた商品は忘れていて、「この人が選ぶものは外れない」と確信する。

考えを裏付ける経験ほど記憶に残るため、その考えが実際以上に確かなものだと感じやすくなります。情報を覚える段階の偏りが、考えへの自信まで強めることがあります。

考えの固定化と意見の対立

例

友人に「あの人、そんなにおしゃれじゃない」と言われても、「見る目がないな」と聞き流す。

考えに合わない意見に触れても、中身を検討せずに「相手の見方が違う」と処理すると、もとの考えは保たれたままになります。そのため、新しい情報が入っても考えが修正されにくく、意見の差が縮まらないこともあります。

他者への決めつけ

例

「センスがない」と思っている友人が似合う服を着ていても、「誰かに選んでもらったんだろう」と考える。

人物への評価は、一度できると修正されにくくなります。「あの人はこういう人だ」という見方が固定されると、その人の別の面に気づきにくくなり、人間関係に影響することもあります。

確証バイアスは、注意力や性格だけの問題ではなく、人の情報処理に備わった仕組みです。自分では気づきにくいのも、この偏りが無意識に働くためです。

まとめ

この記事のまとめ
  • 確証バイアスとは、自分の仮説や信念を支持する情報を、探す・受け取る・覚えるという各段階で優先しやすい、無意識の認知バイアス
  • 3つの段階では、自分の考えに合う情報は集めやすく、合わない情報は軽く扱われ、合う出来事は記憶に残りやすくなる
  • 背景には、情報処理を効率化する働きと、自分の考えを守りたい気持ちがあり、3つの段階が循環して、考えがさらに強まっていく
  • 判断の効率化や気持ちの安定といったメリットがある一方、見落としや過信、考えの固定化、他者への決めつけといったデメリットもある

自分の考えにも、気づかないうちに偏りがかかっているかもしれません。そのことを知っておくのが、確証バイアスを理解する第一歩です。

参考文献

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